新しい公共・非営利 のマーケティング 関係性にもとづくマネジメント

水越康介・藤田健(編著)

関係性からの再構築
40年以上前の概念拡張論争から問い直す。
あのとき、一体どういう未来が見いだされていたのか。
顧客概念の刷新にまで迫る、マーケティング研究のまったく新しい可能性。

発売日:2013年4月24日
ISBN:978-4-502-47910-6
定価:3,740円
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電子書籍版あり

目次

※所属および職名は出版当時のものです。

第1部 関係性概念の意義

第1章 公共・非営利組織のマーケティングと関係性概念

執筆 : 水越 康介 / 首都大学東京 社会科学研究科経営学専攻 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 マーケティング概念の拡張
    • 2.1 概念拡張
    • 2.2 拡張論争と帰結
    • 2.3 科学論争の影響
  • 3 交換概念批判
    • 3.1 限界
    • 3.2 関係性概念の台頭
  • 4 おわりに
第2章 地域観光組織をめぐる関係性
:下関観光コンベンション協会にみる目的地マーケティングの実践

執筆 : 藤田 健 / 山口大学 経済学部 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 目的地マーケティング:その実践における関係性
    • 2.1 目的地マーケティングとは何か
    • 2.2 地域内の組織とRTOの関係性
  • 3 下関観光コンベンション協会の再構築と目的地マーケティングの実践
    • 3.1 下関市と下関観光の概要
    • 3.2 目的地マーケティングの中核組織:しものせき観光キャンペーン実行委員会の発足
    • 3.3 実行委員会の始動と下関観光コンベンション協会の再構築
    • 3.4 実行委員会による目的地マーケティング
    • 3.5 ソフト事業の開発
    • 3.6 小括:下関観光コンベンション協会による関係性の構築
  • 4 おわりに
    • 4.1 本章の要約:RTOを取り巻く関係性の変化と目的地マーケティング
    • 4.2 本章の結論と今後の課題
第3章 関係性から捉える商店街と商業論の可能性
:長田神社前商店街におけるポイントカード事業の展開

執筆 : 横山 斉理 / 日本大学 商学部 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 先行研究のレビュー
    • 2.1 「商店街のマーケティング」の位置づけ
    • 2.2 中小商業者の組織化研究の系譜
    • 2.3 商業集積マネジメントに関する研究
  • 3 事例分析
    • 3.1 調査方法と対象
    • 3.2 長田神社前商店街の概要
    • 3.3 タメ点カード事業
    • 3.4 活動を通じて分かってきたこと
  • 4 ディスカッション
    • 4.1 考察
    • 4.2 インプリケーション
  • 5 おわりに
第4章 コミュニティが可能にする教育:NPO法人シブヤ大学にみる関係性の構築

執筆 : 水越 康介 / 首都大学東京 社会科学研究科経営学専攻 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 教育の課題
    • 2.1 現代教育の矛盾
    • 2.2 関係性から捉える教育
  • 3 教育の相対化
    • 3.1 コミュニティへの参加としての教育
    • 3.2 状況論的アプローチの発展
    • 3.3 変更可能性とハラスメント
    • 3.4 マーケティングとの関係
  • 4 シブヤ大学の事例分析
    • 4.1 概要
    • 4.2 設立の背景
    • 4.3 シブヤ大学の設立
    • 4.4 他地域への展開
  • 5 学びを通じた関係性の構築
    • 5.1 授業の仕組み
    • 5.2 関係性の構築
    • 5.3 関係性を作り出す仕組み
  • 6 おわりに
    • 6.1 帰結
    • 6.2 一般的な問題への対応

第2部 公共・非営利性の定義可能性

第5章 デ・マーケティングの逆説と非営利性の営利性

執筆 : 水越 康介 / 首都大学東京 社会科学研究科経営学専攻 准教授
          明神 実枝 / 中村学園大学 流通科学部 講師

  • 1 はじめに
  • 2 デ・マーケティングの実際
    • 2.1 デ・マーケティングの定義
    • 2.2 政府主導のキャンペーン事例
    • 2.3 イスラエルにおける節水キャンペーン
  • 3 デ・マーケティングのもう一つの側面
    • 3.1 デ・マーケティングの逆説
    • 3.2 顧客側の理解
  • 4 おわりに
第6章 実践の中で見いだされる非営利性と営利性
:山梨のワインツーリズムにおける地域の魅力の再構成プロセス

執筆 : 日高 優一郎 / 山梨学院大学 現代ビジネス学部 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 「地域のマーケティング」の議論の概要、および本章の視点と課題
    • 2.1 「地域のマーケティング」の議論の概要
    • 2.2 本章の視点と課題
  • 3 ワインツーリズムの事例分析
    • 3.1 ワインツーリズムの概要とその契機
    • 3.2 行政からの補助金が生み出す関係性の変容
    • 3.3 取り組みが生み出すワイナリーとの関係性のさらなる変容
    • 3.4 取り組みが生み出すさらなる課題
  • 4 おわりに
第7章 関係性を分離・結合する通貨の可能性:アトム通貨の仕組みと広がり

執筆 : 西川 英彦 / 法政大学 経営学部 教授

  • 1 はじめに
  • 2 地域通貨と貨幣の役割
    • 2.1 営利型地域通貨
    • 2.2 非営利型地域通貨
    • 2.3 貨幣の「分離/結合」機能
    • 2.4 非営利マーケティングの観点から捉える地域通貨
  • 3 アトム通貨
    • 3.1 アトム通貨誕生の背景
    • 3.2 アトム通貨の仕組み
    • 3.3 支部の活動
    • 3.4 営利的な非営利型通貨
  • 4 おわりに
第8章 まちづくりを可能にする小売業の外部性:元町商店街(協同組合元町SS会)の歴史的考察

執筆 : 水越 康介 / 首都大学東京 社会科学研究科経営学専攻 准教授
          横山 斉理 / 日本大学商学部 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 小売業の外部性とまちづくり
    • 2.1 売買集中の原理とその拡張
    • 2.2 公共性の論理
    • 2.3 場の論理
    • 2.4 まちづくりにおける公共性
  • 3 事例分析
    • 3.1 元町商店街と元町SS会
    • 3.2 元町商店街の運営
    • 3.3 第1期(昭和30年代〜)の壁面線後退から第2期へ
    • 3.4 第3期(平成15年〜)にみる共同運送という方法
    • 3.5 共同配送の背景
  • 4 おわりに

第3部 顧客概念の再構築

第9章 関係性概念の徹底と顧客概念の相対化

執筆 : 水越 康介 / 首都大学東京 社会科学研究科経営学専攻 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 Arndtの可能性
    • 2.1 「内部化された市場」論の再検討
    • 2.2 Arndtによる概念拡張批判
  • 3 関係性と顧客概念
    • 3.1 Arndt議論の再検討
    • 3.2 ステイクホルダーの多様性
    • 3.3 Arndt以降の関係性マーケティングの展開
  • 4 おわりに
第10章 保育の質をめぐる顧客概念の再検討とパートナー志向
:あけぼの保育園における関係性の構築

執筆 : 田村 直樹 / 関西外国語大学 外国語学部 准教授

  • 1 はじめに
  • 2 保育サービスと関係性
    • 2.1 保育所の役割
    • 2.2 サービスの質と成果の評価
    • 2.3 保育の本質と関係性
  • 3 あけぼの保育園の事例
    • 3.1 概要
    • 3.2 緩やかな育児担当制
    • 3.3 その他重要なサービスについての認識
    • 3.4 保護者との関係
    • 3.5 地域のステイクホルダーとの関係
    • 3.6 エコ活動をとおした地域との関係
    • 3.7 あけぼの保育園園長の思い
  • 4 顧客概念の再検討
    • 3.1 顧客概念の再検討
    • 3.2 パートナー志向型
  • 5 おわりに
第11章 行政組織のマーケティングとマーケティング言説:八王子産業政策課における関係性の構築

執筆 : 前場 大二 / 宮城県経済商工観光部 観光課 主査

  • 1 はじめに
  • 2 非営利マーケティングと行政
    • 2.1 日本における非営利マーケティングの行政への導入
    • 2.2 行政におけるマーケティング導入の困難性
  • 3 八王子市の産業施策における関係の構築
    • 3.1 八王子市産業施策の概要
    • 3.2 八王子市産業政策における「現場主義」
  • 4 サイバーシルクロード八王子における「現場主義」
    • 4.1 サイバーシルクロード八王子の設置
    • 4.2 サイバーシルクロードの活動における関係性
  • 5 はちおうじ未来塾
    • 5.1 はちおうじ未来塾の発足と展開
    • 5.2 ピエゾパーツと参加動機
    • 5.3 はちおうじ未来塾をめぐるマーケティング実践の成果
  • 6 非営利マーケティングにおけるアトラクター概念
    • 6.1 事例のまとめ
    • 6.2 アトラクター概念による事例の理解
第12章 ミッションとマーケティング:アトリエ インカーブにおけるミッションの不変性と可変性

執筆 : 比留間 雅人

  • 1 はじめに
  • 2 ミッションと非営利マーケティングの齟齬
    • 2.1 非営利組織の存在理由/非営利マーケティングの審級としてのミッション
    • 2.2 顧客志向とミッション
    • 2.3 資源獲得競争とミッション
    • 2.4 事前的・不変的ミッションと事後的・可変的ミッション
  • 3 ケーススタディ:アトリエ インカーブ
    • 3.1 インカーブ概要
    • 3.2 インカーブの課題意識:作品受容と経済的自立の難しさ
    • 3.3 インカーブのミッション:作品のオリジナリティによる経済的自立
    • 3.4 米国・アウトサイダー・アート市場への進出とその成果
    • 3.5 既存の受容形式の問いなおし
    • 3.6 「障害者アート」「現代美術」の外部の探索
    • 3.7 マーケティングの成果とミッション:市場での成功に対する葛藤
    • 3.8 作品受容における困難
    • 3.9 葛藤や矛盾をもたらす構造的困難
  • 4 二つのミッション観による記述が浮かび上がらせるもの
    • 4.1 事前的・不変的ミッション観からの検討
    • 4.2 事後的・可変的ミッション観による記述:ミッションの部分的実現
  • 5 おわりに
むすびにかえて

執筆 : 藤田 健 / 山口大学 経済学部 准教授

索引

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