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「第2回 碩学舎賞」 審査結果と講評

経営学分野の大学院生(博士後期課程)による優れた研究論文を表彰する「第2回 碩学舎賞」の、授賞論文を決定いたしました。

審査委員会は、2013年12月21日(土)にヒルトンホテル大阪にて行いました。6名の審査委員のうち、所用のためご欠席となったお1人を除く5人の先生にお集まりいただき、応募された7編の論文について審査をいただきました。その結果、今回は優勝論文1編と、準優勝論文2編が選出される審査結果となりました。

表彰論文の著者には、賞金および碩学舎オンラインジャーナル『SBJ』での表彰論文リリース、碩学舎からの著書出版の権利が与えられます。また、表彰式を2014年2月15日(土)に開催する予定です。

審査結果

  • 優勝(1編) :
    「デザインと技術 ―製品の意味の革新に対する技術の貢献―」
    (立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 後藤智氏)
  • 準優勝(2編) :
    「既存事業の成長と顧客資源の活用」
    (神戸大学大学院経営学研究科 渡辺さりな氏)
    「『古楽』市場の生成過程における音楽学研究と演奏実践の協働」
    (一橋大学大学院商学研究科 飯島聡太朗氏)

講評 (審査委員長 嶋口充輝先生)

「碩学舎賞」設立の背景には、経営学分野の若い研究者の卵を支援するという考えがある。その意味で、今回は将来に向けての発展可能性の高さを感じさせる応募作が多く、昨年は残念ながら選出することができなかった優勝・準優勝の論文を、ここに紹介できることは喜ばしい。

優勝論文となった「デザインと技術 ―製品の意味の革新に対する技術の貢献―」は、定量・定性の両手法を用いた分析、およびその前提となる既存研究レビューがしっかりと行われている点が、研究者としての著者の力量、今後の可能性を感じさせるものとして審査委員会では高く評価された。仮説・フレームワークの導出過程をもう少し明らかに示す必要性がある、ケース分析からもっと豊かな洞察が得られるのではないか、といったリクエストもあったが、今後のさらなる発展を大いに期待したい。

優勝にはわずかに及ばないものの、甲乙つけがたいレベルの論文であるとして、今回は準優勝論文を2編、選出することとなった。

まず、「既存事業の成長と顧客資源の活用」に関しては、資源ベースの研究動向をふまえた文献レビューに加えて、企業へのインタビュー調査と観察、二次資料の分析というように、多彩な手法を展開している点が評価された。ただ、分析対象として選択した事例が興味深いものである一方で、その分析の内容、とくに観察調査についてやや物足りなさを感じることが惜しいと感じる。

もう一編の準優勝論文、「『古楽』市場の生成過程における音楽学研究と演奏実践の協働」については、そのテーマ自体のユニークさに加え、論文において展開される議論の興味深さから著者の実力が大いに伝わってくると評価された。ただし、事例分析において要素間のインタラクションが十分に説明されているとは言えず、「正当性」が社会構築されてゆくプロセスを十分に示すことができていない、という点が指摘される。

残念ながら選に漏れた応募論文の著者も含め、今回の碩学舎賞に応募された大学院生の諸君には、ますますの研鑽を積んでいただき、来年度の碩学舎賞にもぜひ積極的に応募いただくことを期待している。

碩学舎賞 審査委員

石原 武政(流通科学大学特別教授、大阪市立大学名誉教授)
谷 武幸 (神戸大学名誉教授)
嶋口 充輝(慶應義塾大学名誉教授)
石井 淳蔵(流通科学大学学長、神戸大学名誉教授)
加護野 忠男(甲南大学特別客員教授、神戸大学名誉教授)
古川 一郎(一橋大学教授)

※ 本件のお問い合わせは、株式会社碩学舎「碩学舎賞」担当・清水までお願いいたします。
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