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「第1回 碩学舎賞」 審査結果と講評

経営学分野の大学院生(博士後期課程)による優れた研究論文を表彰する「第1回 碩学舎賞」の、授賞論文を決定いたしました。

審査委員会は、2012年12月18日(火)にヒルトンホテル大阪にて行いました。6名の審査委員のうち、所用のためご欠席となった1人を除く5人の先生にお集まりいただき、応募された9編の論文について審査をいただきました。その結果、今回は残念ながら優勝・準優勝は該当なし、という審査結果となりました。ただし、今後の研究発展が期待される論文に対する表彰として「奨励賞」を設け、2編の論文に授賞することとなりました。

表彰論文の著者には、賞金5万円および碩学舎ビジネス・ジャーナル『SBJ』での表彰論文リリースの権利が与えられます。また、表彰式を2013年2月16日(土)に開催する予定です。

審査結果

  • 優勝 : 該当論文なし
  • 準優勝 : 該当論文なし
  • 奨励賞(2編) :
    「後発企業のネットワーキング戦略 -北海道におけるワイン・クラスターの競争逆転-」 (小樽商科大学大学院商学研究科 長村知幸氏)
    「日本企業の多角化と企業価値に関するパネルデータ分析」 (中央大学大学院商学研究科 池田雄哉氏)

講評 (審査委員長 嶋口充輝先生)

今回の応募論文は全体的に、まだ完成していないものが目立つという印象であった。博士後期課程在籍中の大学院生が対象であるから、それは仕方のないことではあるが、しかし論文としてまとめる以上、研究目的や主張を明確にして仕上げるべきである。また、独自の調査・分析を行なっているであろう研究にもかかわらず、それが論文で十分に示されていないというものも目立った。これらの点が、残念ながら今回、優勝・準優勝の表彰論文として該当なしという審査結果に至った大きな理由である。

ただし、その中でも今後の研究発展に大きな期待がもてる論文として、特別に2編に対して奨励賞を授賞することとなった。

まず、「後発企業のネットワーキング戦略 -北海道におけるワイン・クラスターの競争逆転-」については、文献レビューがしっかりしたものであること、および取り上げている事例が分析対象として興味深いこと、という2点が評価できる。ただし、提示されている諸概念が事例分析においてどのような形で表れているのかという具体性にやや欠けることや、筆者自身が行なったフィールドワークなどの調査内容が十分に示されていないことが、課題として挙げられる。

次に、「日本企業の多角化と企業価値に関するパネルデータ分析」については、明確な分析モデルにもとづくデータ分析をしっかりと行っていることが、大学院生による着実な研究活動として評価できるところである。しかしながら、研究目的や分析モデルの新しさという点では先行研究の追試の域を出ておらず、分析結果に対する解釈についても物足りなさを感じるという点で、優勝・準優勝のレベルには達しないという判断となった。

今回、碩学舎賞に応募された大学院生の諸君には、これからの研究活動でますます研鑽を積んでいただき、ぜひ次回の碩学舎賞にも完成度の高い論文を応募いただくことを期待している。

碩学舎賞 審査委員

石原 武政(流通科学大学特別教授、大阪市立大学名誉教授)
谷 武幸 (神戸大学名誉教授)
嶋口 充輝(慶應義塾大学名誉教授)
石井 淳蔵(流通科学大学学長、神戸大学名誉教授)
加護野 忠男(甲南大学特別客員教授、神戸大学名誉教授)
古川 一郎(一橋大学教授)